好きって言っちゃえ
今日こそ航に思いを伝えて、白黒はっきりさせようと意気込んでいる美雪。まさか、美雪がそれほどに思い詰めているとは気づかず、行きがけに『本気で参加しなさい』と悦子に言われ、それもそうだと単純にやる気になっている航。『タダ飯』が食べられるからラッキーと軽いノリで引き受けて来たが、悦子に借金を『そんなもの』と軽く言われたことで、なんか少し拍子抜けの気分が抜けない光俊。長年『結婚しない主義』を掲げて恋愛とも遠ざかった日々を過ごしていたのになんだか最近調子が狂ってるの感じ始めている舞。4人はそれぞれの思い胸にとりあえず、何食わぬ顔で自己紹介を済ませ、場に馴染みながらゲームに参加し、いよいよ
「さぁ、お待ちかねの1対1のお話しタイムですよ~」
との事。
「皆さんこちらの円にした椅子の方に移動して下さ~い。内側が女性、外側が男性ね。ここが1番でグルっと番号順に座って下さ~い」
司会の女性の号令で男女それぞれ20人の参加者はテーブル席を離れ、向かい合わせに円形に並べられた椅子に座り始めた。当然同じ番号の舞と光俊は向かい合わせで座ることに。
「では、1人5分ですよ~。素敵だと思う方がいらしたら、遠慮せずにしっかり話してくださいね~。では、スタート!」
「・・・」
「・・・なんか言ったら?」
舞の顔を見たまま何も言わない光俊を不審に思い、舞が先に話しかけた。
「だって、うるさいって言うじゃないっすか」
「あ・・・」
自分の言ったことをすっかり忘れていて、さっきの事をまだ根に持ってるのか小さい奴めとつい思ってしまう舞。
「しゃべっていいっすか?」
ニヤっと舞を見る光俊。
「しゃべんないと司会の人に目ぇつけられそうじゃない」
「確かに」
2人の視線の先には大人しそうな男女の間に立って話を進め始めている司会の女性がいた。
「さて、じゃ、何話しますか?」
「別になんでも」
「じゃ、聞きますけど」
「何?」
「本当はなんで参加してんすか?」
「ん?」
「人数合わせじゃないんっすよね?」