好きって言っちゃえ
「とっても似合ってますよ。可愛らしい感じで」
「か、か、可愛らしい・・・」
見る見る赤くなっていく美雪。フォローしたつもりがますます俯き始める美雪にどう取り繕っていいかわからなくなる航。
「あ、いや、あの。なんか、すみません」
航に謝られ、航を困らせていることに気づいた美雪は勇気を振り絞り、顔を上げて真っすぐ航を見つめた。
「西尾くん」
「はい」
思わず背筋を伸ばす航。
「今までの中で、気になる子いた?」
「ああ、いや、今んところ特別気になるような子はいないですかね~」
航は美雪のところに回ってくるまでに話した女性陣の方を見ながら確認する様に答えた。それを聞いてちょっとほっとする美雪。
「そうなんだ」
「片岡さんは?」
「え?」
「いや、気になる人いましたか?」
今しかないと腹をくくる美雪。
「・・・今」
「ん?」
美雪の小さな声に身を乗り出して聞き返す航。
「だから、今」
美雪は覚悟を決めて少し大きめな声で言い直した。
「今?」
言われてることの意味が分からず更に聞き返す航。
「私、西尾くん狙いだから」
「・・・え?」
言われたことの意味を頭で理解するのに少々時間がかかったようで、西尾はゆっくり姿勢を戻したからキョトンと美雪を見つめた。
「それって・・・」
「マジだから」
「・・・」
美雪の思い詰めた表情に、つられるように表情を引き締める航。
「知ってたかもしれないけど、私、結構前から、西尾くんの事、・・・好きだったから」
「・・・」
「今日は、決着に来たの」
「決着?」
「うん。今日は、西尾くんに好きって言って、ダメならダメ、可能性があるならあるって、見極めたくって」
「・・・」
「そんな難しい顔しないでよ。これは私の問題だから。西尾くんは、西尾くんで私に遠慮しないで、ちゃんと自分の意志でいい人選んでね」
「・・・」
美雪が何となく自分に好意的なのは気づいていないわけではない航だったが、急に美雪の決意を聞かされて、なんと返していいか返事に困ってしまう。