好きって言っちゃえ
方や、美雪は光俊と向かい合っていた。
「今日は、気合入ってますね~」
開口一番、光俊はニヤけながらそう切り出した。
「そうよ、悪い」
「いえいえ。いいですよ。このイベントの趣旨にあってます」
「よね」
「で、手ごたえは?」
「・・・なし」
「え?そうっなんすか?ちゃんと西尾に言ったんっすか?」
「い、言ったわよ」
「言ったんだ」
思わず笑ってしまう光俊。
「なんで、笑うのよ~」
恨めしそうに光俊を見る美雪。
「すみません。いや、ホントに本気なんだなと」
「・・・本気なのよ。私はね」
「西尾も結構やる気で来てるんで、いい結果になるといいっすね。出来ることはアシストしますよ」
「ありがと。気持ちだけもらっとく。私は、私で何とかするから、平野くんは平野くんで頑張ってよね」
「頑張る?」
「そうよ」
「そう言われましても、今日も人数合わせに来ただけでして」
「まだ、結婚出来ないなんて言ってんの?」
「はぁ、まぁ。まだまだ返済がございますので」
「それは、いい解決策を授けてあげたでしょ」
「ん?なんっすか、それ?」
「あれ?社長から聞いてない?」
「いえ、別に」
「さすが、社長は口が堅いってことか」
美雪は、利害関係がばっちりの光俊と舞の『ベストカップル』理論を、舞から光俊には言うなと釘を刺されていたので、回りまわって光俊の耳に入らないかと、社長の剣二にだけ話していたのである。剣二は光俊にはその話をしていなかった。
「なんなんすか?いい解決策って」
「聞きたい?」
「そりゃあ、借金がなくなるんなら、是非」
「じゃ、手短に言うけど」
「はい」
2人は前かがみになって、顔を寄せ合い、美雪は真顔になり小声で囁いた。
「要は、死にそうな人と結婚して保険金かけて、奥さんが亡くなったらその保険金で借金を返済するのよ」
「・・・」
光俊が無言でゆっくり体制を元に戻したので、美雪も体制を戻した。
「どう?いいでしょ?」