好きって言っちゃえ
「あ、じゃあ僕と一緒じゃん」
と、言ったのは、成長期真っ只中の中学2年男子、現在161cmの哲平だった。ちなみに舞の身長は154cm。
「へ〜、一緒だって」
哲平の言葉を受けて、光俊はもう一度、舞の顔を見る。
「…」
悔しいかな、反論しきれない舞は、苦々しい目で光俊を睨み返す。
「何、その顔。そっちが売ってきた喧嘩でしょ」
光俊は、舞から目を逸らしてビールを一口飲んだ。
「ははっ。舞ちゃんの負けだね」
二人のやり取りを面白がって見ていた剣二が堪えきれなくなってつい噴出した。
「今度から終わったらちゃんと電話するって言ったっしょ。いつまでも絡まないで下さいよ。酒癖悪いんじゃないですか?」
と、光俊は、ムッとしたままの舞を再び横目で見た。そう、撮影が終わっているはずの時間になってもブライダルハウスからなかなか帰って来なかった光俊たちを心配してイライラしながら待っていた舞は、3人が帰ってきた途端、
「なんで電話1本入れられないのよっ!」
と、3人の中で一番年上でブライダルハウス担当の責任者となっている光俊に詰め寄ったのだった。