好きって言っちゃえ

ムッとしたまま舞は、グラスのビールをグググッと飲み干した。そんな舞を見て哲平はもぐもぐと口を動かしながら、なんの気なしに呟いた。

「舞、運動不足なんじゃない?最近ドンドンブクブク太ってる気がするよ〜」

「ブクブクって…」

テーブルの上で空のグラスを持ったままの舞の手がわなわなと震える。

「おい、哲平。蹴りが飛んでこないうちに、部屋に戻った方が良くないか?」

「だね」

剣二の助言のに素直に従って、哲平は、スッと立ち上がって、

「ごちそうさまっ!」

と、言い残すと居間を出て行った。苦々しい顔で哲平の後ろ姿を見送ると舞は、空のグラスに自分でビールを注いだ。

「ブクブク太ってるんなら、ビールやめた方が良くないっすか?」

隣からそんな声がして、舞の手が一瞬止まる。

「…余計なお世話ですっ」

舞は、そう言い放って、再びビールを注ぐ。

「もう若くないんだから、運動しなかったら、下っ腹に溜まる一方っすよ」

「くっ・・・」
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