好きって言っちゃえ
「西尾も大分出来上がって来たようだし、そろそろ一旦お開きにしますか?」
?剣二が悦子を見た。
「そうね。舞は勝手に先にいなくなっちゃったけど。皆も食べ終わったようだしね。じゃ、最後は、社長にしめてもらおうかしらね」
「あ、俺ですか」
不意のご指名に驚きつつも、剣二はグラスに残ったビールをぐっと飲み干してテーブルを挟んで座っている3人の顔を見た。
「『京極写真館』の命運を君ら3人に掛けて雇った。・・・これから宜しく頼む」
剣二は、胡坐をかいたまま、ゆるりと頭を下げた。その姿に、思わず、姿勢を正す3人。
「・・・こちらこそ、宜しくお願いします」
と、頭を下げた光俊に続いて、航と秀人も
「宜しくお願いします」
と、頭を下げた。そして、光俊はゆっくり顔を上げると、
「…酔いが吹っ飛ぶお言葉でしたね」
と、ニヤッとした笑みを浮かべて剣二を見た。
「フッ。ま、不満でもなんでも、なんかあったら、何でも言ってくれ。簡単に辞められたら困るからな」
「そう簡単に辞めませんよ。なんたって、ただで住まわせてもらってんですから」
光俊はそう言うとサッと立ち上がった。
「ご馳走さまでした。先に失礼します」
「あ、じゃあ、俺も」