好きって言っちゃえ
その時、部屋の戸が開いて、舞が入って来た。
「お疲れ様」
入って来るなり、舞はテーブルの上の重ねられた皿を取って台所に運び始めた。
「ほら、悠ちゃん。舞も来たことだし、後は大丈夫だから。剣二さんも上がりなさい。剣二さんがいると、悠ちゃん帰りにくいのよ」
新入りの3人がいないと、役職で呼ぶことはなくなる。
「え?あ、じゃあ。お先に失礼させて頂きます。悠一くん、お言葉に甘えて失礼させてもらおう」
剣二は、まだ残った唐揚げを頬張っていたが、ゆっくり立ち上がった。
「あ、はい。じゃ、これだけついでに運んで行きますね」
悠一が重ねた大皿を台所に運んで行くと、流し台で舞が先に運んだ皿を洗い始めていたので、悠一は舞の隣に並んで持ってきた大皿を舞に見せた。
「これ、どこに置こうか?」
声を掛けられて舞は背の高い悠一の顔をチラッと見上げ、目が合ったので、とりあえずニコッと微笑んだ。
「ありがと。後ろのテーブルに置いといて」
悠一は指示されるまま後ろを振り返り、テーブルの上に皿を置く。