好きって言っちゃえ
「舞ちゃん」
悠一は皿をテーブルに置くと、舞の方を振り返った。
「ん?」
舞が手を動かしながら振り返らずに返事をすると、次の瞬間には舞の頭上から悠一の声がした。
「手伝おうか?」
背後の悠一の気配に一瞬ビクッとして、舞は今度は手を止めて首をググッと回して、後ろの悠一を見上げた。
「ううん、大丈夫だから。悠ちゃんも帰っていいよ。後は母さんとやるから」
「そ?」
と、少し残念そうな顔をした悠一だったが、
「じゃ、おやすみ」
軽く右手を上げると悠一は、にっこり優しい笑顔を残して台所を出て行った。そして入れ替わりですぐに悦子が大量の皿を抱えて入って来た。
「うわ〜、そんなにあるの〜」
「そうよ、サッサと洗わないと明日になるわよ」
悦子はそう言うと居間に残りの皿を取りに戻る。
「あ〜、やっぱ悠ちゃんに手伝ってもらえばよかったかなぁ〜」
ブツブツ言いながらも仕方なく皿を洗う舞であった。