好きって言っちゃえ
「俺としては、第一号は、是非社長に開いて欲しいんっすけど、ダメですか」
「俺も、是非社長に」
と、航も剣二を見てうなづいた。
「そっか。…じゃ、秀人。会長呼んでくれ。皆で一緒に見よう」
「はいっ!」
秀人は大きな声で返事をすると、勢い良くスタジオを出て行った。
「内線で呼べばいいのに…」
その様子を見てあきれた声で小さく呟いたのは舞だった。間もなく秀人が悦子と共にエレベーターで2階に上がってきて、秀人が悦子をエスコートするようにスタジオのドアを開け、悦子が嬉しそうな顔で入って来た。
「会長、こっち座ってください」
4人掛けテーブルに剣二が座っている椅子隣の席の椅子を引いて光俊が悦子を手招きした。テーブルの上には剣二と悦子と間にアルバムがまだ開かずにおいてある。
「まぁ、待っててくれたの?悪いわね」
悦子は胸の前で両手の指を組んで握り、まるで乙女のようにワクワク喜んでいる。
「いいから、早く座って」
もたもたする悦子をイラつき気味に注意したのは、テーブルの端に立っている舞だった。
「はいはい、座りますよ」
悦子が座ると、秀人も、悦子側の一番端っこに立ち、その横に航、光俊、悠一、舞と京極写真館の全員がアルバムの前に揃ったところで、剣二が表紙を丁寧にめくった。