好きって言っちゃえ

帰りは哲平も一緒に車に乗り込んでいる。

「…これじゃ、優勝は絶対無理だね」

助手席に座った哲平は、振り返って、後ろに座ってる大人たちのグッタリさ加減をあきれ顔で見た。

「仕方ないでしょ。運動なんて久しぶりなんだから」

哲平の後ろに座っている舞が背もたれに全体重を預けたまま目だけで哲平を見た。

「でも、楽しかったなぁ。久しぶりに体動かして」

そう言ったのは、舞の隣に座ってる悠一。

「悠ちゃんも、全然ジャンプ力なかったよ」

「だな。ははっ」

哲平の詩的に力なく笑うしかない悠一。後ろの3人は疲れ切ってもう眠りかけている。

「…」

そんな3人についてはノーコメントで、哲平は前に向いて座り直した。

「良かった、おばあちゃんとの約束の方にしてて。優勝賞金なんてもらえそうにないね」

「わからないぞ。今日の事を踏まえて、これからもっと本気で優勝狙いに行くかもしれないぞ」

何故か楽し気に笑う剣二を、

「いや、無理だよ」

と、完全否定の哲平なのであった。









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