好きって言っちゃえ
「中1の最初だけ」
「はぁ〜?」
思わずその場にいた全員が突っ込んだ。
「僕も続けたかったんですけど、足が速かったんでどうしても陸上部に入れって顧問の先生に言われて、2学期からは陸上部でした」
悪びれずにこやかに答える秀人。
「陸上部かよっ」
「一応、言っとくが、今更出場しないってのは無理だからな。優勝賞金のことも会長がしっかり念押ししてきてくれたようだし」
「……」
剣二の言葉に全員が黙り込んだ。
「だから、当日出て、もう一回筋肉痛になればいいんでしょ」
力なく舞が呟いた。
「そうだな」
と、諦め顔の悠一が同意する。
「いやいやいや。優勝しなきゃ、意味ないっすからね」
光俊のその言葉を聞いて、目だけでジロッと光俊を見てうんざりしたように舞が言った。
「優勝なんて、どの口が言うのよ。全然戦力になってなかったくせに〜」
「どの口って…。だって、優勝しなきゃ賞金もらえないんっすよ」
「賞金、賞金って言ったって、しょうがないじゃない。無理なものは、無理なんだから」
「じゃあ、練習しますか?」
「練習〜?」
再び全員に突っ込まれる秀人。