好きって言っちゃえ

「じゃ、借りといてよ」

舞は悦子の方を見ないまま、パソコンを打ちながらそっけなく言った。

「社長」

急に悦子に呼ばれて剣二は慌てて椅子ごと悦子に向いた。

「はい?僕ですか?」

「水曜日お休みだから火曜日の夜だったら練習してもらってもいいわよね?この前みたいに次の日筋肉痛で動けなくなっても大丈夫だし」

「ああ、皆さえ良ければいつだって大丈夫ですよ」

「じゃ、皆はどうかしら?あ、次の日休みだったら飲みに行ったりするのかしら?」

「いえ。別に行きませんよから、火曜日で大丈夫ですよ。なぁ」

悠一が皆に同意を求めた。

「いいですよ」

航と秀人が頷く。

「試合の日っていつでしたっけ?」

と、光俊。

「7月の第2日曜日よ」

ちなみに今は5月の半ば。

「あれ?日曜日って撮影は…」

航が予定を書いた卓上カレンダーを見ようとすると、

「大丈夫よ。仏滅だから。今のところ、赤ちゃんの撮影も入ってないし」

と、航が確認する前に悦子が答えた。

「流石会長、リサーチ済みっすね」

「仏滅じゃなかったら、引き受けないわよ」

結婚式は大概仏滅には行われないので、仕事に差し支えはないというわけだ。
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