好きって言っちゃえ
「じゃないね〜。ってか、仕事相手と付き合うなんてありえねーな」
「え?なんでですか?」
「結婚迫られたら逃げれないだろ」
「え?平野さん、結婚したくないんですか?」
「したくないっていうか、出来ないっていうか」
「出来ない?なんで…」
「金だよ、金」
「金…ですか?」
「そ。俺のこの華奢な肩にズッシリのしかかってるもんがあんのよ」
「っ!!まさか、平野さん、離婚の慰謝料払ってるとか?」
「ちげーよっ」
「あ、違うんだ。まさかのバツイチなのかと思った」
「まだ戸籍はきれいなままです。てか、西尾は?彼女いないのかよ?」
「今いないんですよね〜。30になったし、そろそろ結婚を見据えた人と付き合いたいと思ってはいるんですけど。ここじゃラブラブを見せつけられるだけで、出会いがないですよね」
「確かに。あ、美咲ちゃんどうよ?」
「だから、あの子は俺には不愛想なんだって。それに」
「それに?」
「実は、美咲ちゃんが平野さん好きだって全然気づいてない愚かな長岡が、密かに狙ってるみたいですよ」
「はぁ〜?あいつに彼女だなんて、10年早いっつーんだよな」
「そうそう。間違っても俺らより先に彼女持ちになるなんて許せないですよね」
なんて事を話しつつ二人が撮影の道具を片づけていると、剣二が現れた。
「お疲れさん」
「お疲れ様っす」
「お疲れ様です」