好きって言っちゃえ
「お義母さん。もう少し、分かりやすく話してもらえませんか」
「あら、剣二さんもわからないの?」
「はぁ、すみません・・・」
「おばあちゃん、勿体ぶってないで、早く皆がわかるように言いなよ。僕、見たいテレビがあるんだよ」
「もう、皆鈍いんだから。仕方ないわね。じゃあ、言うから、よく聞きなさいね」
「はい」
剣二が姿勢を正したのを見て、舞と哲平も姿勢を正して、悦子の話を聴く体制を整えた。
「ブライダルハウスへの参入の件、悩んでるんでしょ?剣二さん」
「…ええ、まぁ」
家族会議の場で、突然ブライダルハウスの話をし始めた悦子に剣二は眉を寄せ、怪訝な顔で悦子を見る。
「でも、カメラマンが剣二さんと悠ちゃんだけじゃ手が回らないのは、私だってわかってるわよ」
不可解そうな剣二の表情に怯むことなく、悦子は笑顔で、話を続けた。
「だから、社員寮を建てて、社員を増やしたらどうかと思って」
「いや、お母さん、社員増やせば良いって話じゃないでしょ?社員雇ったら、給料も払わなきゃいけないわけだし。大体、なんで社員雇うのにわざわざ社員寮なんて建てなきゃいけないのよ」
舞は伸ばした背筋をだらりと緩めると、肩ひじをテーブルにつけて、その手のひらに顎を乗せた。
「馬鹿ね〜、あんたホントに」
「何よ、馬鹿馬鹿って」