好きって言っちゃえ
結婚したいあなたへ
次の結婚式の撮影の打ち合わせでブライダルハウスに光俊と航が来ていた。喫茶室で、打ち合わせを終わらせて、新郎新婦を見送って、そろそろ帰ろうとしたとき、美雪が喫茶室に現れた。
「あ、いたっ。良かった〜」
二人を見つけると美雪はホッとした笑顔で寄って行く。
「何か用ですか?」
4人掛けテーブルに横並びに座っていた光俊と航は目の前に現れた美雪を見上げた。美雪は、光俊の向かいにスッと座った。
「二人にお願いがあるんだけど」
「お願い、ですか?」
航が恐る恐る聞き返す。
「そ。二人にしか頼めないお願い」
まじまじと二人の顔を見る美雪。
「仕事の事っすか?」
「う〜ん、まあ、遠からず、近からず…」
「なんですか?それ」
「まぁ、そう焦らずに。時間あるでしょ?コーヒーでも飲む?」
「片岡さんのおごりなら」
と光俊。
「もちろん」
「あざーっす」
「じゃ、ちょっと待ってて」
美雪は立ち上がってコーヒーを取りに行った。
「何頼まれるかわかりませんけど、コーヒー飲んだら、もう断れませんよね?」
と、航が眉をひそめて光俊を見る。
「コーヒー1杯で頼もうってんだから、大した事じゃないさ、どうせ」
「なるほど」
悟りきっている光俊の言葉に航が妙に納得したところで、美雪がトレーにコーヒーを乗せて戻って来た。