好きって言っちゃえ

そして、その仏滅の日曜日がやって来た。

「あ、舞ちゃん、そろそろ上がっていいよ。支度があるだろ?」

掛け時計が10時なったの見て、剣二が舞に声を掛けた。

「…はぁ」

舞が、大きなため息をつく。

「おっと〜、吹き飛ばされるかと思いましたよ」

舞の隣の机にいた光俊が大げさに身を傾ける。

「…」

言い返す気力もなく舞はゆっくり立ち上がり、小声で、

「…お先に失礼します…」

と、言い残して部屋を出て行った。

「大丈夫かな?舞ちゃん」

相当低いテンションで出て行った舞に、ふと悠一が呟いた。

「心配っすか?舞さんの事」

ニヤッと笑って光俊が悠一を見る。その言葉に、その言葉に、その場の全員が悠一を見た。

「ん?行くの嫌そうだからかわいそうだなって…」

「いやいやいや、そっちの心配じゃないっしょ?」

「ん?」

キョトンとする悠一。

「ま、その辺にしといて。お前らも着替えるんならもう行ってもいいぞ」

と、剣二が光俊と航を見た。

「じゃ、俺らも行きますか」

「いってらっしゃ〜い」

元気よく秀人に手を振って見送られ、二人も部屋を出て行った。

「あの〜、僕、なんか変な事言いましたかね?」

真顔で剣二に聞く悠一。

「自覚症状なしか。チーフも結構重症だな」

「ん?」

ますますキョトンとする悠一に苦笑いしかでない剣二だった。





< 95 / 209 >

この作品をシェア

pagetop