好きって言っちゃえ
そして、その仏滅の日曜日がやって来た。
「あ、舞ちゃん、そろそろ上がっていいよ。支度があるだろ?」
掛け時計が10時なったの見て、剣二が舞に声を掛けた。
「…はぁ」
舞が、大きなため息をつく。
「おっと〜、吹き飛ばされるかと思いましたよ」
舞の隣の机にいた光俊が大げさに身を傾ける。
「…」
言い返す気力もなく舞はゆっくり立ち上がり、小声で、
「…お先に失礼します…」
と、言い残して部屋を出て行った。
「大丈夫かな?舞ちゃん」
相当低いテンションで出て行った舞に、ふと悠一が呟いた。
「心配っすか?舞さんの事」
ニヤッと笑って光俊が悠一を見る。その言葉に、その言葉に、その場の全員が悠一を見た。
「ん?行くの嫌そうだからかわいそうだなって…」
「いやいやいや、そっちの心配じゃないっしょ?」
「ん?」
キョトンとする悠一。
「ま、その辺にしといて。お前らも着替えるんならもう行ってもいいぞ」
と、剣二が光俊と航を見た。
「じゃ、俺らも行きますか」
「いってらっしゃ〜い」
元気よく秀人に手を振って見送られ、二人も部屋を出て行った。
「あの〜、僕、なんか変な事言いましたかね?」
真顔で剣二に聞く悠一。
「自覚症状なしか。チーフも結構重症だな」
「ん?」
ますますキョトンとする悠一に苦笑いしかでない剣二だった。