好きって言っちゃえ
「結婚する意思のあるような顔って、どんな顔だよ」
「あんな顔じゃないっすか?」
航が隣のテーブルに座っているハッキリした青色の三つ揃いスーツを着た七三分けの男性を小さく指さし、光俊と舞はその男性の方に視線をやった。その男は入口から入って来る女性一人ずつの顔をものすごい眼力でガン見している。
「いやいやいや、あんな顔は無理っしょ」
「無理よ、無理無理」
と、3人の視線に気づいたのか、不意にその男がこっちを向いた。
「やべっ」
慌てて一斉に反対側を向く3人。そんな事をしているうちに、会場の席は満席となり、先ほど受付にいた40代らしき女性が、マイクを持って現れた。
「皆さん、今日はようこそお集まりいただき、ありがとうございます。では早速ですが、今日のスケジュールをお伝えいたしますね。まず今座ってらっしゃるテーブルの8人でチームになって簡単なゲームをしていただ来ます。その後は、席を移動していただいて、1対1のトークタイムです。この時にしっかり自己PRしてくださいね。そして、全員と話し終わったら、フリータイムとなります。その時はこちらのテーブルにお料理も用意させていただきますので自由に召し上がりながらいいと思われた方と積極的にお話してくださいね。皆さんにとって、今日のこの日が運命の日になることを願っております」