性悪女子のツミとバツ
「結婚したいな。」
今日も穏やかでない情事の後、彼女と二人疲れ切った身体をベッドに投げ出していた。
ふと、呟いた彼女の言葉に、心だけが敏感に反応する。
なら、俺が結婚してやるよ。
なんて、とても言えないチキンな俺は、平静を装って聞き返す。
「本命の男とは、上手くいってんの?」
「んー、どうだろ?彼、人一倍慎重だからね。」
「寝てないんだっけ?」
「うん、まだ。その方が上手く行きそうな気がして。」
「勿体ぶって、清楚なお嬢さんを演じてるわけだ。」
「まあ、そんなところ。」
どうやら、彼女が今狙っているのは、うちの会社の取引先の御曹司らしく、プラトニックな関係のまま結婚まで持ち込む作戦らしい。
「で、欲求不満だと。」
「お互い様でしょ。」
このところ、俺がいつ誘いを掛けても、彼女は断わらなくなった。
週に一度は必ず会っているし、会えば一段と強く求められる。
相当に“溜まって”いるのだろう。