性悪女子のツミとバツ

気になってはいたものの、ちょうど繁忙期であった俺は仕事を放り出すわけにもいかずに、何も行動を起こすことはなかった。
必要があれば、連絡が来るだろうなどと、楽観的に考えていた。

萌の謹慎期間は一週間に決まった。
どうやら、相手の会社は、令嬢が暴力をふるったことを不問にするのを条件に、今回の一件をチャラにしたらしい。

萌とのことは、単なる遊びだった。
何度か食事に行っただけで、身体の関係はない。

男がそう証言したことで、婚約も解消されることはなかったようだ。
萌が、彼は慎重だと言っていたことを思い出す。
なるほど、身体の関係を拒み続けていたのは、萌ではなく、男の方だったのだ。


一週間後の朝。
安井萌は出勤してこなかった。


誰もが、このまま退職するのではと思っていたため、特に彼女から連絡がないことを気にも留めていなかった。



ただ、一人を除いては。