性悪女子のツミとバツ
「とにかく仕事に行くために、少しでも寝なくちゃと思って焦ってて。」
「松岡さんに、メールを送ったのは?」
「何となく、覚えてる。でも、あくまで仕事に復帰するからよ。ちゃんと過去の反省をして、心を入れ替えて仕事しようと思ったのよ。」
彼女が遺書じゃないと主張する、あのメールはまさに過去の彼女の“遺書”だった。彼女は過去と決別し新しい自分に生まれ変わりたかったのだろう。
「いつから?」
「え?」
「眠れないのは、いつから?」
「…あなたと初めて関係した、少し前から。」
「あの男と付き合いだしてからか?」
彼女は俺の問いかけに、観念したかのように力なく頷いた。
「知ってたの、彼に婚約者がいること。彼は言わなかったから、私も知らない振りをしたけれど。」
「どうして?」
「彼と結婚すれば幸せになれると思ってたから。そのために、誰かが傷つこうが構わないと思ってた。でも、本当は、ずっと気になってたのかも。良心の呵責なんて高尚なものじゃないけど、私の行いが誰かを苦しめるだろうことに、自分自身でも知らないうちに苦しんでたんだと思う。勝手よね。」
おそらく、その苦しみのはけ口に選んだのが、あの酷く乱雑な情事で。
優しくしないでと何度も懇願していた萌を思い出す。
あれは、彼女が無意識に自分を責めていた所為なのか。
「松岡さんに、メールを送ったのは?」
「何となく、覚えてる。でも、あくまで仕事に復帰するからよ。ちゃんと過去の反省をして、心を入れ替えて仕事しようと思ったのよ。」
彼女が遺書じゃないと主張する、あのメールはまさに過去の彼女の“遺書”だった。彼女は過去と決別し新しい自分に生まれ変わりたかったのだろう。
「いつから?」
「え?」
「眠れないのは、いつから?」
「…あなたと初めて関係した、少し前から。」
「あの男と付き合いだしてからか?」
彼女は俺の問いかけに、観念したかのように力なく頷いた。
「知ってたの、彼に婚約者がいること。彼は言わなかったから、私も知らない振りをしたけれど。」
「どうして?」
「彼と結婚すれば幸せになれると思ってたから。そのために、誰かが傷つこうが構わないと思ってた。でも、本当は、ずっと気になってたのかも。良心の呵責なんて高尚なものじゃないけど、私の行いが誰かを苦しめるだろうことに、自分自身でも知らないうちに苦しんでたんだと思う。勝手よね。」
おそらく、その苦しみのはけ口に選んだのが、あの酷く乱雑な情事で。
優しくしないでと何度も懇願していた萌を思い出す。
あれは、彼女が無意識に自分を責めていた所為なのか。