性悪女子のツミとバツ
エピローグ
俺の腕の中でスヤスヤと寝息を立てる。
安心して身を任せてもらえることに、俺は心地よい充足感を覚える。
今、腕の中に抱いているのは。
まだ恋人とは呼べないが、きっと互いを必要としている関係の彼女。
いつも強がって、まるで素直じゃない。
それでいて、いつも抱えきれない不安をその小さな身体に詰め込んでしまうような女。
正直、面倒臭い女だ。
でも、そんな彼女の一面を知っても。
彼女に対して愛おしいと思う気持ちは変わらなかった。
むしろ、その思いは日々増すばかりだ。
俺の腕の中で眠りながら、今、彼女は何を夢見ているのだろう。
どんな夢でもいい。
それで、彼女が幸せになれるのであれば。
ただ、幸せな彼女の隣に居るのが、俺ならば嬉しいと思う。
彼女の為なら。
この先、どんな罪も、罰も。
これまで、人生の何事も無難にやり過ごしてきた俺にとって、そんな情熱的な感情を抱いたのは初めての経験だった。
【おしまい】
※この後、萌目線のショートストーリーをいくつか追加予定です