性悪女子のツミとバツ

彼の以前とは違う態度。
休日に一人で出掛けて行く彼。
秘密にされているマンション購入の計画。

その状況から考えて、彼のこのところの変な様子は、私にここから出て行ってくれと告げようとしていたのかも知れない。

それも、当たり前の話だ。
もう半年近く同居を続けているのに、私たちは曖昧な関係のまま。
食費は私も出しているが、家賃や光熱費は、最初彼が受け取らなかったため、今でも全て彼持ちだ。
私の不眠の症状も改善してきているし、当初の目的は達成している。
いい加減、彼も私に愛想が尽きたのか、目が覚めたのだろう。

そして、再び自分の手元のパンフレットに目を落とす。

“ファミリーに最適な周辺環境”

その謳い文句にもあるように、近隣には保育園や学校も充実しているらしい。丸のつけられた間取りは3LDKで、到底彼一人で引っ越しをするとは思えない。
一人暮らしなら賃貸で十分だし、投資目的で買うには額が大きすぎる。
おそらく、誰かと一緒に住む予定があるからこそ、彼はマンションを買おうとしているのだ。
そして、その相手は、
ほぼ間違いなく、
彼が未来を誓う女性だろう。

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