性悪女子のツミとバツ
軽く笑いを交えながらも、いつものような自信たっぷりの言葉とは大きく違っていた。淡々と聞こえてくる声からは、彼のこの一ヶ月の苦悩が手に取るように分かった。
「萌が、寂しがり屋で素直じゃないことなんて、とっくに知ってたのに。俺、何やってたんだろう。」
うなだれる彼に、もっと寄り添いたくて腕に力を込める。
彼のせいじゃない。きっと、全ては弱気な私のせいだ。
「ごめんなさい。私も本当はここにずっと居たかったのに。自信がなくて。」
「ん。だから、ホントは俺がしつこいくらいに甘やかせばよかったんだ。萌が当たり前にここに居てもいいんだって思えるように。」
「十分甘やかされてたよ。」
「いや、ぜんぜん足りない。」
彼はようやく振り返って、私を正面から抱きしめ返した。
ソファの背もたれ越しの抱擁は、どこかもどかしいけれど、互いに今ここに二人で居ることを確かめるように、背中に回した手にぎゅっと力を込めた。
「あ、最初の質問に戻るけど、マンションは買ってないよ。もう抽選も終わっちゃった。佐藤さんは予定通り住むみたいだけど。」
「そう。じゃあ、今度遊びに行こ。すっごい楽しみ。」
「やっぱり買っておけばよかった?」
「私は、この部屋で十分よ。」
彼は、私の唇にキスを落とすと、いつものように得意げな笑みを見せた。
その自信たっぷりな瞳に、吸い寄せられるようにキスを返す。
そう、あなたが居れば。
そこが、私の楽園。
【楽園 end】
「萌が、寂しがり屋で素直じゃないことなんて、とっくに知ってたのに。俺、何やってたんだろう。」
うなだれる彼に、もっと寄り添いたくて腕に力を込める。
彼のせいじゃない。きっと、全ては弱気な私のせいだ。
「ごめんなさい。私も本当はここにずっと居たかったのに。自信がなくて。」
「ん。だから、ホントは俺がしつこいくらいに甘やかせばよかったんだ。萌が当たり前にここに居てもいいんだって思えるように。」
「十分甘やかされてたよ。」
「いや、ぜんぜん足りない。」
彼はようやく振り返って、私を正面から抱きしめ返した。
ソファの背もたれ越しの抱擁は、どこかもどかしいけれど、互いに今ここに二人で居ることを確かめるように、背中に回した手にぎゅっと力を込めた。
「あ、最初の質問に戻るけど、マンションは買ってないよ。もう抽選も終わっちゃった。佐藤さんは予定通り住むみたいだけど。」
「そう。じゃあ、今度遊びに行こ。すっごい楽しみ。」
「やっぱり買っておけばよかった?」
「私は、この部屋で十分よ。」
彼は、私の唇にキスを落とすと、いつものように得意げな笑みを見せた。
その自信たっぷりな瞳に、吸い寄せられるようにキスを返す。
そう、あなたが居れば。
そこが、私の楽園。
【楽園 end】