うそつきハムスターの恋人
二課に戻ると、私はパソコンで夏生の社内用のアドレスにメールを送った。

一緒に暮らしていた頃は、携帯のアドレスに送っていたのだけど、今そっちにメールを送るのはためらわれた。

『仕事が終わったら、お話ししたいことがあります。七時にメイズの前で待ってます』

送信しました、の文字をじっと見つめる。

夏生に聞いてみたかった。

「本当に私にできると思う?」と。

私のことを推薦したのは夏生だ。
それくらいの相談には乗ってくれるだろう。

これは仕事の話だから。
別れた恋人同士でも、仕事の話だったらしててもおかしくない。
それに。
私は手の中のシルバーの鍵を見つめる。
この合鍵も、いい加減返さなくちゃ。

夏生だって、早く返してくれないかなってきっと思ってる。

『わかった』

夏生からはそんなメールが返信された。
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