うそつきハムスターの恋人
夏生の優しい顔を、久しぶりに見た。
もうこれで十分。
これ以上、話していたら泣いてしまいそうだ。
私はコートのポケットに手を入れると、中のものを取り出した。
「……これ、うっかり返しそびれちゃったの。ずっと持っていてごめんね」
夏生に握りこぶしをつきだすと、夏生の左手に無理矢理にぎらせた。
やっと返せた。
……返しちゃった。
「……じゃあ」
またね?
さよなら?
お疲れ様です?
なんて言おうか迷っていると、夏生が私の返した鍵を見つめながら、ぼそっと言った。
「……話ってのは、それだけ?」
「あ……う、うん。ごめん。じゃあ行くね」
早口で言って、夏生に背を向けた瞬間、視界がぐにゃりとゆがんだ。
唇を噛む。
『話ってのはそれだけ?』
胸に突き刺さる。
もうこれで十分。
これ以上、話していたら泣いてしまいそうだ。
私はコートのポケットに手を入れると、中のものを取り出した。
「……これ、うっかり返しそびれちゃったの。ずっと持っていてごめんね」
夏生に握りこぶしをつきだすと、夏生の左手に無理矢理にぎらせた。
やっと返せた。
……返しちゃった。
「……じゃあ」
またね?
さよなら?
お疲れ様です?
なんて言おうか迷っていると、夏生が私の返した鍵を見つめながら、ぼそっと言った。
「……話ってのは、それだけ?」
「あ……う、うん。ごめん。じゃあ行くね」
早口で言って、夏生に背を向けた瞬間、視界がぐにゃりとゆがんだ。
唇を噛む。
『話ってのはそれだけ?』
胸に突き刺さる。