うそつきハムスターの恋人
one year later
「大澤店長、お疲れ様です。今月のSVチェックシートです」

「水嶋さん、お疲れ様です。あー、Bですか……」

「提供時間が五秒オーバーでマイナス二点です。フードのスタッフが新人なので、こちらは来月には改善されてるかと思います。あとは、清掃面ですね。入口のマットに落ち葉が……。スタッフの接客態度等は特に問題ありませんね。みんなハキハキとしているし、ちゃんと目を見て接客してました」

「わかりました」

SVシートの写しを受け取り、私は一項目ずつ目を通す。

「それから……来月から新メニューが発売されますので、マニュアルをお渡しします。本部のほうで一度ガイダンスを行いますので、ご都合のいい日を教えて頂けますか?」

「新メニュー?」

「ええ。去年の秋、期間限定発売されたラズベリースコーンに今回はクリームチーズが入るんです。……大澤店長、お好きそうですね。本部の直営店では来週から先行発売されますので、今度お持ちします」

私は、にっこり微笑んだ。
夏生も、にっこり微笑んだ。

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