うそつきハムスターの恋人
このお店の売りだという、ビールマイスターが注いでくれたビールは、泡がきめ細かくてとてもおいしい。
「仕事、大丈夫だった? 急にごめんね」
改めて宮下さんが謝ってくれるので、私はいえいえと首を振った。
「ゆっくり話したかったんだよね。しずくちゃんと」
宮下さんは話しながら、夏生の顔をちらっと見る。
「コンパばっかり行ってたモテ男に、やっとできた彼女だしね」
彼女か……。
嬉しいような、切ないような複雑な気持ちになった。
どう返していいかわからず「まぁ、はい……」とつぶやく。
「別にモテてねぇよ」
夏生はぶっきらぼうに言うと、ビールをごくごくと飲んだ。
「でもほんと、水嶋、しずくちゃんのこと、大好きだよね」
「お前っ、なに言ってんの!?」
あわてた様子で夏生がとめようとするけれど、宮下さんはにこにこしながら続けた。
「今日だって、俺がしずくちゃん呼ぼうって言ったら、すぐ電話かけるし」
「お前が! お前が言ったんだろ? かけろって」
「まさか、本当に呼んでくれるとは思わなかったよ、俺は」
宮下さんは「でもそのおかげでこうしてしずくちゃんと話せてうれしいっす」と急にまじめな顔で言う。
「あれでしょ、どうせお前、井谷さんといるところ見られたから、ちょっと心配だったんでしょ。しずくちゃんが怒ってるんじゃないかって」
「井谷さん?」
聞き返しながら、さっきのきれいな女の人のことかな、と思い当たる。
「俺らのふたつ上の先輩。さっき会ったでしょ?」
私がうなずくと、宮下さんはわはは、と声に出して笑う。
「気にしてたよ、こいつ。なんか、誤解されたかも、とか言って」
「気にしてましたか……」
ちらっと夏生を見ると、夏生は「してない」と言ってビールをまた飲んだ。
夏生の耳がほんのり赤いのはビールのせいだろうか。
私の頬が熱いのも、ビールのせいかな。
「仕事、大丈夫だった? 急にごめんね」
改めて宮下さんが謝ってくれるので、私はいえいえと首を振った。
「ゆっくり話したかったんだよね。しずくちゃんと」
宮下さんは話しながら、夏生の顔をちらっと見る。
「コンパばっかり行ってたモテ男に、やっとできた彼女だしね」
彼女か……。
嬉しいような、切ないような複雑な気持ちになった。
どう返していいかわからず「まぁ、はい……」とつぶやく。
「別にモテてねぇよ」
夏生はぶっきらぼうに言うと、ビールをごくごくと飲んだ。
「でもほんと、水嶋、しずくちゃんのこと、大好きだよね」
「お前っ、なに言ってんの!?」
あわてた様子で夏生がとめようとするけれど、宮下さんはにこにこしながら続けた。
「今日だって、俺がしずくちゃん呼ぼうって言ったら、すぐ電話かけるし」
「お前が! お前が言ったんだろ? かけろって」
「まさか、本当に呼んでくれるとは思わなかったよ、俺は」
宮下さんは「でもそのおかげでこうしてしずくちゃんと話せてうれしいっす」と急にまじめな顔で言う。
「あれでしょ、どうせお前、井谷さんといるところ見られたから、ちょっと心配だったんでしょ。しずくちゃんが怒ってるんじゃないかって」
「井谷さん?」
聞き返しながら、さっきのきれいな女の人のことかな、と思い当たる。
「俺らのふたつ上の先輩。さっき会ったでしょ?」
私がうなずくと、宮下さんはわはは、と声に出して笑う。
「気にしてたよ、こいつ。なんか、誤解されたかも、とか言って」
「気にしてましたか……」
ちらっと夏生を見ると、夏生は「してない」と言ってビールをまた飲んだ。
夏生の耳がほんのり赤いのはビールのせいだろうか。
私の頬が熱いのも、ビールのせいかな。