うそつきハムスターの恋人
そのあと、アラームもかけていないのに、いつも通り七時に目を覚ました夏生と朝ごはんを食べた。
お箸が使えることがわかったから、ご飯と卵焼きとお味噌汁、それに白菜のお漬物。

「食べたら、着替えて出発な。スニーカーとかがいいと思う」

「どこ行くの?」

尋ねると、ある神社の名前を口にした。
電話で一時間くらいの場所にある、紅葉がきれいで有名な神社だ。

「秋には秋らしく、紅葉狩り」

秋には秋らしく。
その夏生の言葉を私はすごくいいと思った。
口には出さなかったけど。

< 69 / 110 >

この作品をシェア

pagetop