うそつきハムスターの恋人
雨のち晴れ
月曜日、出勤した喜多さんは私と加地くんの顔を見ると、えへへと恥ずかしそうに笑った。

「なーんか、私よく覚えてないんだけど、お世話になったみたいで……ごめんね?」

「全然、大丈夫ですよ」

「そうですよ、全然、大丈夫ですよ」

私と加地くんが言うと、「そんなに大丈夫って言われると、逆に落ち込むわ」と苦笑いをした。

私と加地くんはパソコンの隙間から微笑み合う。

そんな喜多さんが私たちはやっぱり大好きなのだ。

「尚人さんって優しそうな人ですね」

デスクに腰かけた喜多さんを小さな声で冷やかす。

「でしょ? 職はないけどね」

「体も弱いんですよね?」

喜多さんはくすくすと笑って「アレルギーもあるし」と付け足す。

「でもすてきな人でしょ?」

そうですね、と私は心から言った。
しあわせそうに笑う喜多さんが本当に羨ましかった。
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