青い星の騎士たち

「ところでおめぇさ、地下に行く階段のとこに血まみれのお化けが出るっつう噂知ってっか?」

 フェルトは顔も上げずにすんなり言った。

「あぁ、あれね。知ってるよ」
「怖くないの?フェルトくん」

 机に顎をのっけて、フィギュアのスカートの中をのぞきながらロミオは言った。

「怖くなんかないよ。そんなの」
「へぇ。見た目よか肝は座ってんのな」
「だってその噂流したの僕だし」
「はぁぁ??」

 フェルトは笑いながら顔を上げた。

「こうやって前より薄暗くしたのも、その噂の信憑性を高めるためにしたんだ。結構怖いでしょ?」
「おう、こわい。目論み通りになったなっ!」
「おいおいおいおい!何でそんな根も葉もない噂流すんだよ!」

 おっかない顔で睨むジャスティンに、フェルトはひるむ様子もない。

「何でかって?色気づいた生徒たちが、人気もないちょうどいい具合の薄暗さの中でいちゃついてるのが邪魔だからだよ」
       
 そう言って、また黙々と色付けをやりだした。

「…そ、そうか…。そりゃぁイヤだよな…」
「だろ?だから怖い噂を流した」
「いやらしい〜。フェルトくん」

 カッと顔が赤くなる。

「ち、ちがう!いやらしいのはそういうことやってるガキ共だろ!だいたいお前な、さっきからフィギュアのスカートの中のぞきすぎなんだよ!」
「男の性だよ〜」
 
 フェルトはフィギュアや絵付けの道具をしまいだした。

「今のこと、言うなよ!おれの静かな仕事場を守ってくれ」
「はいはい、わかったよ」
「お前ら、どうせ仕事に行くんだろ?」

 壁にかかっている鍵を投げてよこした。

 そして、紙がいくつもはさまっているファイルもよこす。

「持ってくの書けよ」
「おうよ」

 ジャスティンは薄暗い中、仕事に持っていくいつも通りのアイテムをサラサラと書いていった。


・カプセル(後ほど説明)
・テレポストーン(魔法のテレポ…建物や洞窟から外へ脱出する魔法…を使うことのできるマジックアイテム)
・非常食(乾パン、フリーズドライされた食べ物やスープの類)
・雷虫灯(雷虫という自分の体を発光させる虫が入った灯り)
・毛布人数分


 こんなもんか。

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