青い星の騎士たち
「おせぇよ、おめぇら」
直径1メートルぐらいのカプセル型の入れ物に、ジャスティンは女二人の荷物を無造作に放りこんだ。
「ちょっと乱暴に扱わないでよバカ!」
「バ、バカって…!わ、悪かったな!」
ふてくされた顔のヴァレリーは言った。
「遅いのはあの女のせいよ」
「おうよ。わかってるって!」
ニヤニヤ笑いながら背中を叩いてくる。
「ヴァレリー!若い時から苦労してた〜いへ〜ん」
「好きで苦労してるんじゃないのよ!」
そう言ってリアを見たが、彼女は爪先立ちして何かをキョロキョロ探している。
そうしながらも、道行く男子に手を振られ、「きゃ〜!」と振り返していた。
先輩、まだ仕事から帰ってないよね〜…。
「もうしまうのないよな?」
ジャスティンはカプセルの蓋を閉じると、その横についている小さなボタンを押した。
ポンッ。
軽い音と共に、カプセルが手のひらサイズに縮まる。
この活気的なマジックアイテム、魔法のジャイアー(かけたものを一時的に大きくさせる)と、ミニマー(反対に小さくさせる)をうまい具合に融合させた物で、かさばる荷物もかなり小さくまとめることができる非常に便利なアイテムだった。
たまに魔法を注入させなきゃいけないし、一般販売もされてるが、恐ろしく値段は高い。
学校でも、仕事以外では利用禁止になっている。
身軽になった4人は、若干急いで駅に向った。
「先輩探してるの?」
まだキョロキョロしているリアにヴァレリーが聞く。
「うん。仕事から帰ってないかなぁって。もしかしたら、早く終わってるかもしれないじゃん?」
「そうね〜。いるといいわよね」
「でしょ?せっかくあたしが表紙だからさぁ…。ま、再来月あたり、また表紙するんだけどね〜」
プチ自慢終了―。
ヴァレリーは心の中で、ケッと悪態をついた。
まったく。
世の中の男共は、リアの本性知ってんのかね。
…知らないからこんなにモテんのかしら。
でも、女子に対してはあんなあけっぴろげに嫌な態度とるんだから、知らないはずないわよねぇ…。
無駄なことだと分かっているが、思わず考えてしまうこの事実。