青い星の騎士たち
町と町の移動にもっぱら活躍している生きものが、ザウルスというドラゴンに属するモンスターだ。
羽がついているのがウィングザウルスで、こちらは羽のついていない、ザウルスの基本形だ。
皮膚が焦げ茶色で羽がついていないのを除けば、ウィングザウルスとほとんど変わりはない。
馬車の馬代わりといえば分かりやすい。馬とはちがい、モンスターに襲われた場合先頭きって戦ってくれるので、大変頼りになるモンスターなのだ。
通常、一つの町に、ザウルス発着所(駅)は一つ。
セントマリナの場合、オレンジスター校に続く坂道を下って少し歩いた先にある。
簡単な屋根があるだけの駅には、ザウルスが着いたばかりなのか、多くの人でごちゃごちゃとしていた。
「よぉ!オレンジスター校!」
制服姿の駅員が話しかけてくる。
「よぉ!」
なぜか男二人とハイタッチ。
「何、この仲の良さ」
女二人が怪訝そうに彼らを見る。
ロミオは駅員の肩を抱いた。
「そりゃぁオレたち、ダチだから」
「は?オッサンとダチ?」
失礼なリアがそう聞き返した。
「そう。オッサンとダチでござる〜」
「オッサンとは失礼だな!ま、確かにオッサンだが。あっはっはっはっは!」
笑い転げるオッサンとロミオ。
「…笑いのツボがわからないわ…」
「おめぇら、聞いて驚くなよ。このオッサン、何とブルックの親父さんなんだぜ〜」
ブルックとは、ジャスティンたちが意味のない喧嘩をしているバスタード校の輩の一人だ。
真っ赤に染めた髪のモヒカンで、長身で痩せ細っているがなかなか強い男子だ。
あだ名、ニワトリ。
「……へぇ」
「別に驚かないし」
「何かジャスティンとロミオがお世話になってるみたいで…」
ヴァレリーだけはオッサンに軽く頭を下げたが、女二人はさっさと切符を買うと、ザウルスに早くも乗り込んだ。