夜闇に咲く
一刻
今は昔、刀1つで世を生き抜いた、天才剣士がいたそうな。




「ふぁぁぁぁぁぁぁぁ~…」



きょうも、よくねむれたわ。

青い空に浮かぶ白い雲をなにかに見立てながら大きくあくびをする

僕の名前は太刀川 日和


僕、剣道で一番なんだ。
 うん、世界で。
 高校2年生です。


なぜか知らないけど女の子にもてるんだよねー、



いや、僕もれっきとした女子高生なんだけどね?


昼休みは友達とご飯を食べてるんだけど部活の後輩だったり知らない子だったりから呼び出しを受けることが多いんだよね……

みんな顔を真っ赤に染めてさ、僕に想いを伝えてくれるんだけど僕も女の子はそういうのじゃないから……断るのも心苦しい。


「ふぅ……」


日和は河川敷の草のじゅうたんに寝ころびながら静かに目を閉じた

1人でこうして寝転んで、自然の風に吹かれる……

このまま、世界が平和なまま、僕のことを置いて回りつづけたら
僕はもう世界に溶けていなくなっちゃえるのになぁ…


「……あーもう、なにいってんのかなぁ、……さぁ、いくかっ、と」


日和は考えを切るように頭を振り、ため息をついて立ち上がる


そのまま草の絨毯を登って道に出た

向かう先はコンビニだ。

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