夜闇に咲く

by斎藤一



急に意識をなくして倒れたコイツは、長州のものなのか?


木から飛び降りていたのも、隣町で長州の者を気絶させていたのも、竹刀一本で町を歩いていたのも、コイツだ。



変なことしかしていないけれど、見ていた感じでは……


……兎に角、気絶してしまったことを土方さんに言わなければ。




「土方さん」
「……斎藤か、入れ」

スッ
「あの者が、急に意識を飛ばし、倒れました。」

シーン


「ふぅ、俺も疲れたんだな。すまないがもうい……」
「倒れました。」

眉間を指でもんで現実逃避をしようとしているところに悪いが、正確な情報を伝えるのが俺のやくめだと思っているので伝えなければならない。


そうして斎藤一はふすまを静かに閉め、全速力で走っていった土方を追いかけるのだった。
< 18 / 81 >

この作品をシェア

pagetop