夜闇に咲く
by太刀川日和




やめて……おかぁさま、おとうさま
僕を縛らないで……




暗いところもう、怖くないよ?嫌いなものもなくした、学校のテストだって95点以下とってないし、かけっこだって─



「……はぁっ!!!!」







目を開けると、先ほどまでいたはずの暗いところではなかった。



だが、縛られていた感触がそこには残っていて、どうしようもなくそれが駄目だった。



「やだ!………おかぁさま!ちゃんと稽古します!一番!とる………から!おとうさま!やめ…」


ガラッ

「落ち着け!!」

「……ッやめ…て…」





目から大量の涙が出てくる。
泣いちゃだめだ、泣いたらまた…

「ごめんなさい……僕、泣かない……強い子だから、弱くないから……捨て……ないで……ッ…」

震えてしまう手を抑えながら、日和は嗚咽を漏らした
< 19 / 81 >

この作品をシェア

pagetop