夜闇に咲く
by太刀川日和





「ここは、新撰組だ」


突然聞こえてきたのは、知らない、なのに、安心できるハスキーボイスだった。


「あ…あ…ッ」



手錠のような所を見ながら目を見開いて金魚のように口をぱくぱくとしていることしかできない。


すると、




「手、無理なのか」



そう、聞いてきた、




でも、僕は、声を出せない、恐怖のあまり、喉が震えない。

涙をためて首を縦に振ることしかできなかった

目の前の綺麗な人が僕に手を伸ばして外してくれた時だった

ドタドタドタ
バタッピシッ




「起きたのか!!」
「土方さん!起きたか!!」
「副長!!間者はどこだっ!!」
「ちげーだろ平助!!」
「そうだぞ平助!俺がやる!」
「新八!?」

さ、騒がしい……
涙もカラカラで泣き疲れている身にはひどく響いたみたいだ、頭がガンガンし始めた
ああやめてくれないかな大声で喧嘩するの……

「静かにしろっ!!!!」
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