夜闇に咲く
目の前には、黒色の靄がかった、それでいて眼光は鈍く光っていた、あえていうなら黒い骸骨、のような……だが、そんなヤワな骨じゃない、僕の身長の二倍……いや、もっとある……
「っなんだこれっ!」
ソレがいつのまにか龍馬を通り過ぎ、僕の目の前にいた
いつのまにっ……!
すかさず護り刀を抜いて敵の攻撃を受け止める
「つっ、よ」
短い護り刀には尋常じゃない程の力が加えられた
力では勝てないっ……
そう思うが否や右に受け流してステップ回避をする
黒い骸骨は両腕をだらりと下げながら、顔だけのっそりとこちらを向いた
「はぁ……っ、ここにきてまともに強いヤツと殺りあって無かったからな……」
まともでは、ないか
そう心の中で付け加えた
父と刀を交える時は殺し合いも同然だった
隙があれば打たれる、こちらも隙があれば打とうとするが父に一手入れるなど……と、色々考えて雑念のすえに打たれて終わるのだ
僕の最大の敵は意志の弱さだった
相手が人ではないのなら雑念も何も無いだろう
息を吐いて一気に攻める
「ふッ…………はぁぁッ!」
斬れた
たしかに相手の腕を肩から斬ったはずだ
「なんでっ!? 」
「普通の刀じゃそやつは斬れん」
不意に龍馬が言葉を発した
「おまんがもっちょるその短刀、それなら斬れる」
普通の刀じゃないってこと……?
そう尋ねるまもなく敵が攻めてくる
「もう、……っ!リーチが短いんだよ……!」
心臓を突くしかない
「竜馬!あいつの脚を切ってくれ!」
後ろから息を呑む声がした
「おうおう、まかせちょれ!」
後ろから赤い閃光が飛び出す
「はぁっ!!」
横に薙ぐ
「いまだっ……」
ここぞとばかりに飛び出す
あそこにこの、刀を
髑髏の透けた骨の間から見えるどくどくと動くものを脳天から狙いを定めた
「うらぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
龍馬に足を切られ、高さが僕よりも少し高いくらいになっているソレを、頭から下まで斬り裂いた