夜闇に咲く

無刀

「よぉ」



後ろから声がかかった


「今日は教えてもらうぞ」

日和は後ろを振り返り、龍馬を睨みつけた




「……まぁ、いずれ知らなければいけないことだ、お前さんとこの一番隊長も感ずいてる事だしな」


「は??総司が……??」


なぜ今総司が出てくるのかと考えを巡らせるが、そんなことわからない、日和は考えるのをやめた

そんな日和をみて龍馬は薄く笑った

「説明してやるよ。いま京に起こっていることを」











「まず、昨日のアレだ。あれは禍罪(まがつみ)この世に強い執着がある人間が喰われたものだ。つまり、主は人ってことになる」






「何でそんなものが!!」

現実的に考えて死んだ人が骸骨で出てくるなんてものは無い。

信じる人は幽霊や心霊といったものを信じるけれど


「今、京には黄泉へと続く門が繋がってるんだ」







よ……み??







「なん……で??」

「それは俺にもわからない。……これは、禍罪に喰われた仲間が黄泉に連れていかれる寸前投げてくれた妖刀、"鬼切り"だ。」


そう言って龍馬は80センチ弱はありそうな刀身を引き抜いた。月明かりに照らされて赤く輝く刀身はいつ見ても見惚れるほどだ


「最後に言っていた。黄泉への門を占めなければこの京だけでなく、日本が終わる、ってな、この刀で日本を守ってくれって」






ことの大きさを読み込めなくて、もう1度龍馬に質問をしようと口を開いた時だった


「龍……」
「くる……ッ」



龍馬は目を見開いて一点を見つめた



その一言で空気が変わる



刀をぬこうとしてはたと気付く



「っ!!龍馬!僕、刀鍛冶場に出しちゃった!!何も無いよ!」




「なに!?刀一本も持たずに出てきたってのか!?」


龍馬がものすごく焦った声を出す




どうしよう、どうしたら


「おい!これ使え!!」



そう言って龍馬は後ろ手に黒い結晶のようなものを投げてきた



「っ!なに、これ」



こんなもの渡されたところで何になるんだ、投げたら爆発でもするのか??




「なにか、出来るものはないか、特技とかっ、もう、なんでもいい!!どじょうすくいでもやれば、……っとにかくそれを貸すから武器を出してみろ!」







「はっ、はぁっ!?」






本気でこいつが何言ってるのかわからない!!!!




こんなものから武器が出るわけないだろ!?!?


「はやくっ!!くぅっ……っ!」




龍馬は禍罪の刀を苦しげに受け止めている





日和は手の中の黒い石と龍馬を交互に見、緊張がお腹の底からせり上がってくるのを感じた

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