夜闇に咲く
「どじょうすくいじゃなくてもいける!!侮るなよっ」
踊りと剣以外何もやってこなかったんだ、それ位の鍛錬はつんでる
篠塚流。
京舞
母に教えてもらった型、篠塚流は門下生も沢山いて……
今でも鮮明に思い出せる
右にターン、左足を外に向けてまた戻って右手で滑るように宙を切る
頭の中に琴と横笛の音が流れる
ピカッ
「うわっ!?」
手に握っていた結晶のようなものが眩しいほどの光を放つ
「その、刀の名前はくもぎり……蜘蛛切だ!名を呼べ!」
蜘蛛切。
「く、蜘蛛切っ!!!!」
眩しさに目を細め、何が何だかわからないまま右手を前に突き出す
気づいた時には蜘蛛切だと思われる刀を手に持っていた
「助太刀、してくれっ!!はやくっ」
苦し紛れに言ってくる龍馬。
「わかってる!今助ける!」
力で押し負けた龍馬に禍罪は容赦なく斬り掛かる
ガキンッ
「つぅ、よぉ……ぃっ!!」
この前と同じだ、力で押し負ける、
流しても流しても次の攻撃が来る、
巨体の割にスピードも早いし、一手一手が力任せじゃない、一番手ごわい相手だ。
どう、すれば
そうだ、もう、やって見るしかない
頭上に来た一太刀を受け流して剣を引く
「三段突き……っ!!!」
蜘蛛切の刃を外側に向け、突きを放つ
「そこだっ!」
頭、喉、みぞおちを狙う
頭、防がれ、喉、かすった……っ
みぞおち、ラストだっ……!
「はいれ……っ!」
顔面に血が飛んでくる
「うぶっ……」
目に入る所だった……
禍罪は刀を持った手をだらんと下げて霊体を拡散させるように散っていった