夜闇に咲く
新たな刀を
「ふぅ、」
先ほどの戦闘の感覚がまだ抜けていない
屯所に戻ってきてからずっとそわそわしている
「あー、どうしよう、どうしよーーーー!!」
「なに、どうしたの、なんでそんな叫んでんのさ」
総司が訝しげな視線を送ってくる
「なんか、あの、すごく刀を握ってたい」
自分でも何を言っているのか分からないが先程から手が自然に柄を握るようになっている、いや実際には握ってないのだが。
「……そっか、君はまだ人を切ったことがないと思っていたけど、今から道場に行こうか、相手になってあげる」
人、じゃないんだけど
道場に行く最中総司は僕の方を見ずに聞いてきた
「最近遅かったのは、斬ってたんだね、不逞浪士ならまだしも、街の人には手を出さないでよ」
「……え、なに??どういう、」
「いいよ無理に言わなくても」
言葉が遮られる
意味がわからなくてこの感情がなんなのか分からなくて、もどかしい
「失礼します」
「……失礼します」
道場に入ってからも無言で、集中出来なかった
「総司……」
「……なに?」
悲しいものを見る目で、その目で僕を見ないで欲しい
「僕は、人なんて斬ってない」
「……は??」
総司は何を言われると思ったのかすごい拍子抜けした顔をしている
「じゃあ何で」
「三段突き……、いや、あの、刀の使い方を、1から教えて欲しい」
……
……
数秒の沈黙を破ったのは、またも総司の抜けている声だった
「はぁ?」
「え、だ、だめ??」
「だめ、っていうか……僕を馬鹿にするのも大概にしてよね、自分が勝った相手に剣術を教えてって言うのは」
「いや、剣術じゃなくて……っていうか第1馬鹿になんてしてないし……」
総司の顔が凄いことになってる……
「僕、竹刀しか持ったことなくて、刀なんて無縁だったし、短刀とかでさえ使ったことがなかったから、重さにも慣れてなくて、……木刀も持てないくらい……」
「短刀を持ったことがないって言うのは、え、守り刀として持たせられてただろ??しかもこのご時世刀も無しにどうやって生きてきたんだよ、……竹刀でよくまぁ……」
「それは……っ、まあいいじゃん、教えてよ、お願い」
「君……」
ガラッ
「おうおうおう!日和は刀の使い方を教えてほしいのか??それなら俺が教えてやるよ!」
「左之さんは槍だろ!?おしえらんねーじゃん!俺が教えてやるよ!な!日和!」
「いや待て平助、ここは俺が手解きしてやろうじゃねぇか!」
いや俺が俺がとガヤガヤしている
「なっ、なんで君たちが教えるのさ!!頼まれたのは僕だよ!?」
『……』
3人が同時にこちらを向いた
そして驚いたような顔をして口々に言った
「総司がなぁ……へぇ……」
「左之、俺にもわかっちまったよ……」
「え?え?しんぱっつぁんまで!?お、俺だって!!」
謎の対抗してますけど僕の横ですごいさっきがあるの分かってる?気づいてないのかな??うん
「馬鹿どもは部屋にかえってねろーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」