世界の終わりに
「あの写真はなんですか?」
リビングの丸テーブルで食事が終わり、コーヒーを飲んでいるときに
私は教授に尋ねた。
ー写真……?
「暖炉の上の写真です」
私は赤縁の写真たてを指差した。
そこには1組の若い男女が並んで映っていた。
女はピースサインをして男性に寄り添っていた。
バックには白い大きな建物が映っていた。
ーそれは、研究所だ。昔、僕が勤めていた。
そのカップルは、私と教授だった。
しかし、私には彼と写真を撮った記憶は無かった。