世界の終わりに
「この女性は誰ですか?」
私は写真立てを持ってきて、ピースをした私を指差して尋ねた。
まるで浮気がばれた亭主のような顔をした教授が嫌々ながらに答えた。
こういう時、本当に教授は面白い。
ーただ同僚だよ。同じチームで、一緒に研究をしていた。
「ただの同僚には思えません。とても仲睦まじいカップルのように思えます。」
ー……彼女は誰に対しても友好的だった。
「これは、私ですか?」
ー…………似てるが君ではないよ。
教授が視線をそらした。
似ている?馬鹿な。似ているとかの話ではない。これは、私だ。
しかし、私はこの写真の女のように、ピースサインをして笑ったり、教授に寄り添ったりはしない。