世界の終わりに


「あの丘には何があるのですか?」


サラダの野菜にドレッシングをかけている教授はフォークを置いた。



ー墓地がある。


教授がサラダをじっと見つめると
ため息をしながら、フォークで野菜をかき分けた。


「そこで教授を分解するんですね」


ー分解?


「教授が死んだら、埋めて微生物たちに分解させて土に還すのが、私の役目なのでしょう?」



私の答えを聞いた教授は大きなため息を再びついて、君は”死”というものをわかっていない、などとブツブツと小言を言ってきた。


私は何も間違ったことを言ってないのに
彼は私を非難しているようだ。


何が彼を怒らしてしまったのかわからない。

本当に、よくわからない男だと思う。




ーそれと、ユーリ。


「なんですか?」



ーサラダに青虫がいる。



「青虫は食べないのですか?」




< 20 / 35 >

この作品をシェア

pagetop