世界の終わりに
「あの丘には何があるのですか?」
サラダの野菜にドレッシングをかけている教授はフォークを置いた。
ー墓地がある。
教授がサラダをじっと見つめると
ため息をしながら、フォークで野菜をかき分けた。
「そこで教授を分解するんですね」
ー分解?
「教授が死んだら、埋めて微生物たちに分解させて土に還すのが、私の役目なのでしょう?」
私の答えを聞いた教授は大きなため息を再びついて、君は”死”というものをわかっていない、などとブツブツと小言を言ってきた。
私は何も間違ったことを言ってないのに
彼は私を非難しているようだ。
何が彼を怒らしてしまったのかわからない。
本当に、よくわからない男だと思う。
ーそれと、ユーリ。
「なんですか?」
ーサラダに青虫がいる。
「青虫は食べないのですか?」