世界の終わりに
ー寒かっただろう?
私はワンピースに袖を通して、自分が寝ていた台から立ち上がる。
裸足だったので床が冷たい。
ー今日は君の誕生日だから、靴もあげよう。
男は初めて私に微笑んだ。
そうか、今日私が生まれたのか。
なるほど、そうするとこの謎の男は
私を作った、つまり父親らしい。
しかし私にはどうしても、彼が父親だという実感が湧かない。
この男の見た目はどう見ても30代前半。
私と10歳くらいしか変わらないだろう。
せっかくなら、小学生ぐらいの子供をつくれば良かったのに。
いったいこの男は何を考えているのだろうか。