愛してるなんて言わないで


もうこのまま…

話しかけることもできないで…

教室のどこからかたまに聞こえる彼の声を聞いては

1人で、ドキドキする。


そんな毎日だと思っていた頃


「結花ちゃんもうそろそろあがっていいよ」

「はーい!お疲れ様です」

「いや、まだあと5分はちゃんと仕事してね」

「まだ5分もあるのー?」


バイトが終わる頃…


突然、お客として現れた赤坂君を見つけた。


「あれ…赤坂君…?」

「前に来てもいいって言ってたでしょ?」

部活の後なのか


赤坂君はジャージの上にコートを羽織って1人でやって来た。


「でも、私…あと5分でバイト終わるよ?」

「そう?なら、外で待ってる。」

「何か、食べに来たんじゃないの?」

「それはまた今度にする。」


「そう…なんだ?」



何のために赤坂君がわざわざバイト先まで来てくれたのかは分からなかった。

けど、外で待ってる。

その言葉はまるでデートの誘いのように聞こえて


少し


照れ臭くて


胸の奥がきゅんと高鳴った。





急いで学校の制服に着替え直して外に出ると

彼は言った通り、雪のちらちら降る寒い外で私を待っていてくれた。


「どうしたの?突然…用事があったなら、学校でも良かったのに」

慌てて駆け寄った私に


彼は歩幅を合わせながら歩き出す。


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