愛してるなんて言わないで
今、思い返せば
颯太を出産したばかりの頃の玲二は疲れていたのかもしれない。
医者として独り立ちをしたばかりではあったけれど、仕事の愚痴もなく、玲二が昔からなんでも出来る人だと知っていた私も、新米ママとして、家事に育児の両立が大変で
玲二を気にかけている暇などなかった。
お互いの性格を知りすぎていて
お互いに甘えすぎていたのかもしれない…。
玲二に思いやりを持ってあげる事よりも
彼に対して自分の要求を求める事の方が多かったかもしれない。
お互いに
知りすぎていたばかりに、ちゃんと向き合う事もしないで
理想を押し付けていたのかもしれない…。
無理矢理、理想に近付けようとしていたのかもしれない…。