愛してるなんて言わないで
こうして振り返れば沢山の事が見えてくるのに…
当時の私達にはどうしてそれさえも見失っていたのだろうか…。
深夜…
ずっとしまいこんでいたアルバムを取り出して
1ページ
また
1ページめくるたびに溢れてくる
優しい思いでの数々。
記憶の中の2人は
いつも喧嘩ばかりしていたのに…
写真に写る私達はいつも
…
笑っていた。
私達は確かに
幸せな時間もちゃんと過ごしていたのに…
どうして
出会った事さえ無くしてしまいたいと思うほど、側にある大切なものを見失ってしまっていたんだろう…。
まだ生まれたばかりの颯太を抱きしめて
笑う玲二の写真に
涙が落ちていく…。
些細な喧嘩が積み重なって
いつからか
玲二の愛も見えていなかった…。
ううん…。
理想通りじゃない愛を
見て見ぬふりしていたんだ…。