愛してるなんて言わないで


「颯太ー、ママと一緒にお昼寝んねしよー?」

「やだっ!」


元気になった颯太は、ガチャポンかたてにもう片方の手には大好きな車の玩具を持って元気に遊んでいる。


ソファーに横になりながらその様子をぼんやり眺めていると、インターホンの鳴る音がして

誰だろう?と思う暇なく颯太が先に玄関へと走る。



玄関のドアを開けた先にいたのは…


湯川社長だった…。




「社長…?」

「突然ごめん。早退の理由を他の社員が話してたのを耳にして…」


早退の理由を他の社員が…

つまり

陰口を聞いたのか…。


「おじちゃんだーっっ‼」

湯川社長の姿を見つけた颯太が、嬉しさのあまり社長に抱きつくから、驚ろいて慌てて引き離す。


「おじちゃんじゃないでしょっ‼湯川さん…湯川さんって呼ぶの。」


颯太に注意をする私の前で、しゃがみ込み、颯太に視線を合わせた社長は「そうだな…まだおじちゃんなんて呼ばれたくないな」そう苦笑いをしながら「翔太君って呼びなさい」
と、教える。


私的にはどちらも困る。

と、いうか何の連絡もなく勝手に来られるのはもっと困る。

そして…

颯太と仲良くされるのは…

本当に困る。



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