愛してるなんて言わないで
「もう一回」
「何が?」
「もう一回名前を呼んで?」
「…結花さん?」
「足りないよ。まだ呼んで?」
「どうして?」
「あなたに名前を呼ばれるのが嬉しいから」
「どうして…?」
「好きな人に呼ばれると自分の名前が特別に聞こえるからだよ」
夢はそこで途切れて
夢の中でも
翔太さんに会えた事が嬉しくて
朝方にも関わらずスッキリ目が覚めた私は
颯爽と颯太を実家に迎えに行った。
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「ママ、ご機嫌だね?」
「うん。よく覚えてないけど良い夢を見た気がしたの。」
「どんな夢?」
どんな夢…?
確かに良い夢だったという記憶はあるけれど
夢の内容はいつの間にか忘れていた。
「きっと颯太とラブラブする夢だったと思う。」
「えー?本当?
僕もママとラブラブする夢見たよ?」
「本当?嬉しいな」
2人で鼻歌を歌いながら帰宅すると
会社から封筒が届いていた。
「なんだろう?」
「なんだろね?」
2人で顔を見合わせながら封筒の中身を取り出すと
ハラリと落ちた温泉旅館の宿泊券。
「これ、こんなに早く届くんだ…」
「なにそれー?」
「温泉にタダで泊まれる券」
「えー?凄いね⁈」
「ママの会社の人のおかげなんだけどね?
颯太、温泉行きたい?」
「行きたい行きたい‼」
「あ、来週の土曜日ってら決まってるみたいだよ?」
「じゃあ来週の土曜日だね⁈」
「うん決まり‼」
颯太と2人きりの初めての旅行‼
表彰をされるほど頑張ってくれたあの営業マン様様です。
初めての旅行は
とびきり良い思い出を颯太と作りたい。