愛してるなんて言わないで
「ねえ、颯太、颯太はママのどんなとこが好き?」
「んー…とねぇ…」
ハンバーグを食べてる颯太は上機嫌な表情で首を傾げる。
「笑ってるところ‼」
「笑ってる…ところ?」
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「ズバリ結婚の決めては?」
結婚報告の飲み会で、玲二の友達がからかいながら質問をした。
「私は…玲二の優しいところ?かな」
照れもせずにそう答えた私を見て
玲二も答えた。
「笑顔だな。」
普段、2人でそんな会話をした事はなかった。
高校時代からの長い交際期間の中で
2人が結婚にたどり着くのはごく自然なものだった。
不器用で、口下手で
2人きりでいる時は、いつも私が一人で喋っていて
玲二はそれを「うん。うん。」って静かに聞いていて
話しの最後に必ず
「今日も楽しかったみたいで良かった」
そんなお決まりの言葉で締めくくる。
口下手な彼に「私のどんなとこが好き?」なんて聞いたことなんかなかった。
だから笑顔だと言われた時は、玲二が私のことをそんな風に思ってくれてたことを知って…
すごく嬉しかった。
嬉しくて
つい
2人きりになった時に調子にのって聞いたんだ。
「笑顔だけで足りるの?」
そう聞いた私に
「結花の笑顔が毎日、隣にあるならそれだけで幸せに生きていけると思うんだ。」
口下手で
不器用で
隠し事が下手な玲二からの精一杯の愛情が
これ以上ないくらいに伝わった。
そんな瞬間だった…。
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「何が悲しいの?」
「えっ…?」
「ママ、泣いてるよ?」
「えっ?嘘っ⁈やだっ…」
慌てて涙を拭って笑って見せた。
「うん。やっぱり笑ってるママは1番可愛い‼」
「ありがとう。颯太…。
ありがとね。」
颯太は…
やっぱり
あの人の…
玲二の子供だ。